interview.01

 WABARA 

オリジナル品種WABARAを育て、世界に広めるなど、精力的に活動をされているRose farm KEIJIの國枝さん。2019年6月22日に、StudioEcoDecoを使って、WABARAのPOP-upショップ&イベントを開催していただきました。思いがけずたくさんの方にご来場いただいたイベントのことや、WABARAの今後の展開についてイベント会場でもある、Studio EcoDecoでお話しを伺いました。

   
 

interview.01

 WABARA 

オリジナル品種WABARAを育て、世界に広めるなど、精力的に活動をされているRose farm KEIJIの國枝さん。2019年6月22日に、StudioEcoDecoを使って、WABARAのPOP-upショップ&イベントを開催していただきました。思いがけずたくさんの方にご来場いただいたイベントのことや、WABARAの今後の展開についてイベント会場でもあるStudio EcoDecoでお話しを伺いました。


◁ インタビューに答えてくださったRose farm KEIJIさんが主催してくださったイベントのレポートを掲載しています。 
 

「ワクワクすることをしたい」から始まった、イベント


谷島:
先日は、Studio EcoDecoで初めてのイベントを開催していただき、ありがとうございました。 弊社は、Studio EcoDecoの運営含めたビルの運営やリノベーション事業を行っているのですが、「この場所に行けば楽しいことがある」と思っていただけるような場の提供をしたいと思っています。國枝さんがどういう思いで今回のイベントを開催してくださったのか、実際にどうだったのかなどを伺いたいと思っています。会社の戦略や今後の展望についてもお聞かせください。  
 
國枝:
がんばります(笑)  
 
谷島:
元来私は営業畑の人間で、異なる世界で生きるものづくりをされている方に憧れのような思いや、手仕事が感じられるようなモノが好きなんです。直接そういったお仕事をされている方とお話をする機会をいただいたことで、東京以外の場所で活躍されているものづくりの方、職人の方で東京で活動や商品を広めたいと思っている方と一緒にワクワクするようなことをしたいなとずっと思っていました。間に入ってくださった方に「WABARAさんという素敵なばらを作られている方がいらっしゃるんです」とご紹介いただき出会うことができました。  
 
國枝:
ありがとうございます。もともとは違う企画で出会いましたが、今回、イベントの場所を提供していただいたことで、自分たちも初めての経験ができました。  
 
谷島:
WABARAさんのイベントはいろいろ工夫されていてすごく楽しかったので、また一緒に開催できると嬉しいです。ここは、2018年11月にスタジオをオープンさせて、普段はレンタルの撮影スタジオ「Studio EcoDeco」として運営している場所で、ありがたいことに稼働もしています。ただ、夜の時間や休日の余った時間がもったいない、けれどただ儲けたいというわけでもない。じゃあどういうことをしたらいいかと考えた時に、お客様への恩返しを第一に考えました。メインの事業として行なっているリノベーション事業の『EcoDeco』は2019年10月で14期目を迎えます。これまでお世話になったお客様に何か還元したいという思いが一番。もうひとつは、イベントをすることで自社のスタッフが喜んでワクワクしながら仕事をしてくれています。日常の中もワクワクは大切にしたい要素。今回のWABARAさんとのコラボイベントも、私もスタッフもワクワクして参加させていただきました。  
 
國枝:
楽しんでいただけて、こちらも嬉しいです。朝から夜まで丸一日をかけて、カフェの営業、花束づくりのワークショップ、トークとフラワーアレンジメントのデモンストレーションイベントをさせていただき、本当にたくさんの方ににお越しいだたきました。元々のWABARAファンの方もそうですが、「東京でやるから近いし行ってみようかな」という方もいらっしゃって、見て触れていただく機会になったという実感があります。

WABARAブランドの確立



谷島:
私は割と自宅にお花を生ける事が多いのですが、生花店でWABARAをお見かけしたことがなかったんです。なのでご紹介していただいて初めて知ったわけですが、市場にはほとんどだされていらっしゃらないんでしょうか。何も知らない消費者の立場からすると、広く流通させていくには、バラの生産者さんはつくって市場におろすということが流通のやり方なのかなと思うのですが。

國枝:
そうですね、市場に卸すというのが主流です。うちの祖父が創業してから25年が経ちますが、その当時から流通の仕組みはほとんど変わっていないと思います。色々な時代の流れはある中で、バラ業界というのは実はバブルがはじけた時の落ち方とタイムラグがあったんです。バブルが弾けてから2年くらい好調で、その後に勢いが落ちました。1990年の大阪の花博までは非常に好調で、市場にさえでだしていればやっていけていました。もう30年近く経過していますが、実のところ今もあまりかわってはいなくって、良かった時のやり方をひきづっている。ただ、若い世代の生産者がでてきて世代交代するなかで、変わらなければいけないという思いはある。そういう「変わらなければ」という一部の中にRose farm KEIJIがいます。

谷島:
國枝さんはWABARA Cafeををオープンされたり、WEBサイトを持たれて直販をされてたり精力的に活動されていらっしゃいますよね。イベントの際もWABARAファンの方が集まってくださっていました。今年から始められた「WABARA Members」であればただの定期便ではなく、國枝さんの思いに共感してくださった方がが集まっていますよね。

國枝:
よくご存知ですね。「WABARA Members」は、単にWABARAを定期的にお届けするのではなく、滋賀にいらしていただいて一緒に農園で摘み取りの体験したり、見学をすることで私たちの思いに共感してくださる方を増やしていきたいと思って、こういった取り組みを始めました。

谷島:
実際に滋賀にいったりだとか、自社のファンだったり、思いに共感してくれるメンバーの方が直接集まってくれていますが、直販という形での事業は何年くらいされていらっしゃるんでしょうか。

國枝:
そうですね、もともとこの仕事をしようと思うより前は、先ほど申し上げたように直接ではなく市場を通していたので、生産物も生産者の情報も市場に集約していて、その先の花屋さんの情報も市場に集約されていました。なので、市場の中での基準で花の良し悪しが決まっていましたね。それが、僕がこの仕事を始める2006年のことです。

谷島:
私が起業したタイミングと同じです。

國枝:
あ、そうなんですね。この仕事を始める前は、僕は大学が都内で、その後半年だけ都内でサラリーマンをしていました。

谷島:
どういった業界で仕事をされていたんですか?

國枝:
ある大手企業の子会社で、海外赴任される方のサポートをするような仕事をしていました。その間に、家業のお花を贈る機会がありまして、すごく喜ばれました。今思えば、それは産地直送ということですよね。なので、鮮度もいいんです。翻って家に帰ると、ただ箱に詰めて送っているだけで、贈った方の気持ちだったり、逆に残念だったところも含めて生産者には届いていない。

谷島:
そこにチャンスがあると。

國枝:
そうです。僕も遠回りしながら社会に出て知りましたが、皆さん「作ったものとどう売るか」を含め、色々大変なことがありますよね。僕たちはある意味作って出せばいいだけですから。また、いいか悪いかは別にして、市場を通して出荷するのであれば、市況に左右されますよね。予め値付けをするのではなく、オークションに出してみないとわからない。半分ギャンブルのようなところもあります。自分たちの完成度に左右されるのではなく、どちらかというとその時の需要と供給のバランスで価格設定されていくということが当たり前。その状況に慣れていて、自分たちで価値をつけていくということをできていないと感じました。なので、自分がやっていくなら、これからは自分たちで価値をつけてブランド化していくということをしていきたいなと思いました。

谷島:
なるほど。それって、生花業界だけに限ったことではない状況ですよね。地元佐賀の例だと、以前有田焼の窯元を訪れたときに知りましたが、商社さんが全て価格を決めていて、そこを通さなければ業界の中で敵視されてしまうという現状がありました。國枝さんは、直販をしていくということに抵抗はなかったのでしょうか。

國枝:
そうですね。うちの場合は、たまたまインターネットが発達して、twitterやネット販売などで個人が情報やモノを発信していくのが当たり前になりつつあるタイミングだったので、市場という機関が情報をクローズにすることが難しくなってきた時期だったんです。なので、我々の場合は、そこで軋轢が生じたということはなかったですね。

谷島:
確かに、私も起業したのが同じくらいだったので、イメージができます。

國枝:
我々の場合は、まずホームページを作ることから始めました。それから、自分たちの価値が何かということの定義づけをしました。自分たちが価値があると思っているところが世の中にとっての価値があることなのか、と。

谷島:
最初は、ホームページを使って伝えていったと。

國枝:
そうですね。広報をしていくという手段、ツールとしてのホームページです。自分たちの哲学を一般の方にも響かせられるように、自分たちの中で定義づけをするところから始めました。

谷島:
思いを発信するために、具体的にどのようなことをされていらっしゃるんですか?例えば、今回の神楽坂でイベントをされたりしていると思うのですが。滋賀以外の場所から発信していくのはどういったことからですか。

國枝:
それもプロセスの中でお声がけいただいて、ということから始まってます。例えば、農園見学ツアーもそうですが、「やってくれたら行きたい」と言っていただいたことから、じゃあやってみようと。あくまで自分たちがバラを生産し、情報を発信している中で、できることから始めている感じです。

谷島:
なるほど。例えば神楽坂や、弊社スタジオでイベントをされていて、きっとお金儲けだけが目的じゃないと思うんです。

國枝:そうですね、広告宣伝として行なっています。イベントの中でワークショップをしています。売り上げを立てながら、広く知っていただいている。もちろん、それだけではなく、スタッフの経験のためにも意味がある。経験をすることで、滋賀に持ち帰り改善しているので、研修という意味も含めてやるだけで意味があると感じています何より、自分がオリジナルのバラをつくる中で一番思ったのは、バラはものすごい種類があって似て非なるものがある。うちのWABARAはまだ圧倒的に供給量が少ないです。その他のバラに埋もれないためにも、自分たちの価値観、美意識を整理して、きちっと伝えていく必要があるなと思っています。
 

▷2019年6月22日の「暮らしとつながる」ワークショップの様子。WABARAのブーケ作りを行いました。


谷島:
先日当スタジオで行われたイベントにおいては、大々的に告知をしていなかったとおっしゃっていましたがたくさんの方にご来場いただけていましたね。その時に感じたのは、みなさんただなんとなく訪れたのではなく、もっと知りたいとかもっと詳しく知りたいとか目的をお持ちのコアなファンの方が多かったですよね。そういった方が集まることで、だんだんとその輪が広がって、増えてきているような気がしました。共感のコミュニティが広がっていて、羨ましく思いました。

國枝:
まだまだそんなものではないですが、そいう風に思っていただけるのは嬉しいです。背景にはしっかりとした哲学が入っていかないとうわすべりしてしまうんですよね。とはいえ、僕たちの目線で真摯に作れるような状況を受け止めなければいけない。それでいて、評価したり次に繋げていけたら広がりもでていくだろうし、また広がり方の加速度も増しますよね。

谷島:
私たちEcoDecoのサービスも、リノベーションの設計をする際には、ドアノブひとつ、キッチンの高さひとつまでお客様のニーズに合わせて全て作り込んでいくんです。今対談をさせていただく中で思ったのは、そういうEcoDecoのものづくりに対する思いと、國枝さんのものづくりに対する思いをもっと告知したかったな、と。次回につなげたい気づきです。今後は、場の提供に加えて広報の役割も提供することも考えています。

WABARAをひとつのカテゴリとして歴史に刻みたい


谷島:
海外でのより広い展開も視野に入れていらっしゃると思うのですが、今後やっていきたい事を教えてください。

國枝:
そうですね。やりたいことが山ほどありすぎるのですが、一つ挙げるとすると、先ほど、お話しに出た海外展開についてです。以前ヨーロッパで受けた農業研修があってそこで見た技術があります。お花じゃなくて、種を見ました。
余談ですが、一般のバラ農家さんってバラの種を見る機会ってないんです。苗から育てるので。父親は祖父の時代から育種交配をしているので、種から育てているんですけれども、私はそれを知らなくて。交配した種を見て、やってみたいけど、どうやるの?というところから始めました。やり方をきいて、試行錯誤しながら始めました。
私も海外で得た経験から、いずれ海外に呼ばれる仕事をしたい。海外に出せるバラを育てたいなという思いがあります。それが少しずつ叶っていき、コロンビア、ケニア、アメリカ、イギリス、メキシコ、オランダでは既に育てられています。この間はエクアドルやタイの方も視察にいらしてました。うちでつくった種がもとになり、それぞれの国でWABARAが育てられていて、世界中で出荷されて、少しずつお店に並ぶようになっている状況です。 
その中で、うちの場合は出荷するバラをWABARAとわからないように出荷することはしていなくて、提携している農家さんには、こちらでパッケージをご用意して、同じ見た目で出荷していただくようにしています。なので、WABARAとして認識をされるようになっています。今は、新しくて珍しいWABARAがあるなというくらいですが、いずれは歴史の一ページに刻めるような、WABARAを一つのカテゴリにしていきたいという思いでいます。

「食べるWABARA」も浸透中


國枝:
あとは、先日のイベントでもださせていただいたような、食べるバラも少しずつ知っていただけるようにしています。

谷島:
この前のイベントも、とても人気のコーナーでしたね。

國枝:
スタッフにもお昼ご飯はたくさんかってきたけど、誰も手をつけられないほどでしたね。

谷島:
このスタジオも、東京の恵比寿にあるからこそ発信できることがあるんだろうなと思いますので、相乗効果で生み出せる ことをやっていきたいなと思っています。

國枝:
そうですよね、地方でものづくりをしている方々がこつこつと発信していくだけではなく、何かのきっかけでどんと発信できたほうが効果が高いと思います。

谷島:
私も、もともとは地方に行って、何か自分も一緒にしたいと思っていたのですが、自分の子供たちが大きくなって学校に通いだすと、思っていた以上に身動きがとれない。だったら東京に進出したいと思っていらっしゃる方の発信の場を提供できないかと。そんなときにいいタイミングでこのスタジオができました。せっかくここに場所があるので、わくわくするようなことをものづくりをされている方とつながりたいなと思っています。

國枝:
そうですよね。東京って駅によって色があるじゃないですか。この恵比寿や広尾界隈は、良い意味で色がついたとしても邪魔しないような良い場所なので、そこで発信させてもらえるのはうれしいです。

▷2019年6月22日に行われたイベントの様子。


 

Studio EcoDecoでは、随時イベントのご利用も承っております。
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國枝 健一 氏
 
1981年、國枝啓司の長男として生まれ、幼少よりばらに親しむ。2年のドイツ留学、一般企業での就業経験を経て、25歳で父が営む「Rose Farm KEIJI」に就農。その後、2014年に「Rose Universe co., ltd.」を立ち上げ、CEOに就任するとともに、プロデューサーとして國枝啓司が理想とする栽培環境や栽培手法の確立をサポートする。一方で、WABARAの思想を体現するプロジェクトや想いを同じくするパートナーとのコラボレーションを世界各国で推進するほか、琵琶湖の再開発事業や花育プログラムの提供など、生態系の一部を担うWABARAのポテンシャルを地球に還元する取り組みも精力的に行っている。
 
https://www.wabararose.com/